厚生労働省が美容医療に対して指導強化した件について

銀座たるみクリニック院長の上野美律です。
先日、厚生労働省が「美容医療において違法のおそれがある事例」を明示し、無資格者の関与やメール診断などを含む行為に対し指導を強化する通知を示しました
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD1413I0U5A910C2000000/(日経報道)
健康被害が相次ぐ美容医療を巡り、厚生労働省が違法の疑いがある行為として「無資格者による医療方針の決定」や、「メールやチャットに限った不十分な診断」などを挙げています。
この業界に身を置いているものとして、大変残念なニュースです。患者さまにとってそんな不誠実なことをしているクリニックがまだあるのかと、恥ずかしく思います。
本稿では、まず今回指導強化の背景を整理し、次に具体的問題点を挙げ、それから医師として・クリニックとして何をすべきかを論じます。
なぜ、無資格者による関与(カウンセリング)がいけないのか?
そもそもの背景として美容医療の相談件数(苦情)の増加と健康被害の発生があげられます。この要因としては、報道の通り無資格者の施術、診断行為を伴わない形の医療行為(たとえばメール診断や遠隔での判断)が考えられています。
美容医療は自由診療(自費)が中心ですが、医療法・医師法・薬機法など複数の法律が関わることは通常の保険診療と同じです。一方で保険診療と異なるのは、「診療報酬制度での規制が及ばない」という点です。このため、「どこまでが合法か?どこからが無資格・違法か?」という線引きが曖昧なケースが存在してきました。行政のガイドラインや通知が必ずしも明瞭ではなかったことも、違法の疑い事例が顕在化する一因と考えられます。
しかし、2024年6月に高密度焦点式超音波HIFU(ハイフ)による医師免許を有しない者の治療は違法であるという見解を厚生労働省が正式に通達しました。こちらもHIFUによる健康被害が拡大したことによる背景が原因です。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc8569&dataType=1
今回の「無資格者によるカウンセリング」が違法とされることも、ほぼ同じですね。
サービス提供側のモラル・倫理の課題
また、情報の氾濫も課題にあげられます。患者さまは広告・SNSを通じて美容医療サービスを選ぶことが多く、見た目・価格・アクセスなどが重視されがちです。そのため、「安さ」「手軽さ」「宣伝力」が優先されて、医師の資格・施術の安全性などが後回しになるケースもあります。一方で、業界側でも競争が激化しており、サービス拡充・集客強化のプレッシャーが、無資格者の起用や法的なグレーな手法への誘惑を生んでいる可能性も否定できません。
医療だけが人体に傷をつけることを許されている
メスで皮膚を切開する、点滴を腕にさす、レーザーを当てて一時的に熱傷をつくる。これらは医師が行う医療行為でなければ、れっきとした「傷害」になります。医療行為のみが治療結果を期待されたうえで、人体に傷をつけることを唯一許されています。極めて例外的なポジションにあるわけです。逆をいえば、医療行為である以上、患者の生命・身体へのリスクを伴います。その責務を背負うことができるのは医療資格者だけです。
この事実を患者さまも強く認識し、クリニック選びの一つの指標にしていただければと思います。
当院の姿勢
すでに銀座たるみクリニック来院していただいている患者さまはよくご存知かと思いますが、当院ではカウンセリングから治療、果てはお会計まで院長である私が一貫して行っております。
医師による一気通貫の診断・治療こそが、患者さまのニーズを汲み取り、コミュニケーションエラーを防ぐと確信しているからです。
だからこそ今回の厚生労働省の通知は当然であると考えますし、患者安全、法令遵守、業界の信頼性維持という観点から、業界全体が真摯に受け止めるべきものです。
私自身、美容医療は外観を整えることにより、人生を豊かにできる一つの選択肢、として考えておりますので、この選択が皆様にとって最大の恩恵となるよう、これからも努めていきたいと思います。
上野 美律
銀座たるみクリニック院長
銀座たるみクリニック
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