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注入治療トレーニング in リーダースクリニック ソウル

先月はソウルにあるリーダースクリニックにて、注入治療の見学をする機会もいただきました。
院長のNark-Kyoung Rho, MD（ロー先生）をはじめ、10院すべて１人ドクター体制のため、10人の先生で運営されています。
すべてのドクターがソウル大学出身の皮膚科専門医で運営されている硬派な美容皮膚科クリニックです。

院長先生がエステ部門も、診療部門もすべて管理されているそうです。
そのため、巨大なチェーンクリニックとは違って、常にスタッフの目が患者様にいき届く規模となっているのが、当院と似てるなぁと親近感が湧きました。

先生はとても英語も堪能だったため、韓国語、英語、日本語で活発なディスカッションができて、久々に刺激的な時間を過ごせました。

また、ロー先生はいろいろこの日のトレーニング内容を練ってくださっていたようです。
「この数年、安全だからということで、皮膚充填剤治療はカニューレで注入する事ばっかりでしょ？でも、カニューレだからって安全じゃない。針でもきちんと注入できたほうがいいし、カニューレでのトレーニングが多くなっているはずだから、今日はニードルでの注入をお見せしようと思っています。」
とおっしゃってくださり、普段患者様に行っている流れを見学させていただきました。

韓国は、日本以上に価格破壊が進みすぎて、市場が崩壊していると感じる。
過剰に安価になった治療費の中で、診療を行う場合は、どうしても、治療時間の効率をあげて、治療時間を短縮する必要がある。
そのため、治療にかかる時間をコントロールするためにも、針での注入も取り入れる必要がある、とおっしゃっていました。

実際、私もさんざんカニューレも使用して、この数年はカニューレによる注入がメインになってきていますが、どうしても正確な深さに注入する必要がある場合は針のほうがいい、と再認識していたところです。
そのため、全部をカニューレで行うのではなく、針での注入も行うように戻ってきています。

特にこのトレーニングの前日に行われた解剖実習で、額の注入時のカニューレ使用は、思ったよりも安全ではないなぁと実感し、ニードル使用の治療もまた考えていこうと思っていたところだったので、本当にいいタイミングでした。

やっぱりどっちかだけでいい、ということはないんですよね。
それは手術手技と一緒だなぁと最近感じています。

参考になったのは、リップの注入はカニューレよりも針のほうが痛くないとのことでした。
通常の皮膚面であれば、皮膚の下が脂肪組織なので、感覚が鈍くカニューレの方が痛みが少なくなります。
しかし、リップの注入に関しては粘膜に近い構造の組織と、筋肉がふれることになります。
針より長さのあるカニューレではがすように入れていくことになるため、長さも短く、シャープな針のほうがさっと進められて痛くないのかなと思いました。
そのため、帰国後の注入は針も再び使うようにしております。

去年くらいから韓国の先生方から、「最近は韓国＝アグレッシブな治療を好む」という傾向が薄くなってきたとよく聞きます。
確かに、韓国製の機器の推奨プロトコルも日本人にそのまま転用できるくらいのものが増えています。

ロー先生も同様に、「ダウンタイム無しの治療を望む人がほとんどになってきており、内出血も出ないようにかなり気を付けている。そして、過剰に変わるような注入を求めている人は一般人の方はかなり少ない。」とのこと。

「less is more」 = 最小限の注入で、より良い効果が出ることを目指す
これは注入医療を長く行っている私も心がけている事です。
私もよく使う言葉です。

一度に大量に注入すれば、どんどん良くなるということではないと思っています。
適切な注入量で、適切な間隔で治療を継続することが、長期的な老化を自然な範囲でコントロールします。
そのほうが、継続的に「自然な仕上がりを維持する」ことになります。

また、加齢に対する注入治療なのか、若い世代の方が行う「美容整形として顔を変えたいため」の治療なのか、目的によっても適切な注入治療の方法は変わってきます。
この要素に関しては、スレッドリフトにも共通しております。

注入治療を中心に、再度自分の治療方針を見返すとてもいい経験となりました。

今回の勉強会で一緒に見学した先生方とその後も楽しく交流させていただいており、光栄です。
楽しく、豊かな学びの機会をありがとうございました。
ロー先生は、休日返上でお時間を作ってくださりありがとうございました！