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韓国のヒアルロン酸事情について

韓国製剤のニューラミスという製剤は私も10年以上前から使用経験がありますが、当院は私一人で運営しているクリニックのため、医薬品の在庫管理をシンプルにする必要もあり、ラインナップには入れていません。

しかし、硬さや粘度がバランスよく、いい意味でクセがなく、過不足ない効果が出る、注入しやすいフィラーのうちの一つであることは間違いないと思います。

韓国美容は、治療費の価格が極端に下がっていることもあり、とにかくスピーディに多くの患者様に対応する方法で治療を進める必要があります。そのため、日本で行われている注入治療とは方法がかなり異なる方向に発展しているのだなと今回のトレーニングを通じて感じました。

とにかく早く注入できるように、ということが重要になってくるので、ざっとラフに注入してもトラブルになりにくくするための工夫がされています。
それは、治療効果を最大限にすることよりも、時に優先されているようでもありました。とにかく安くて１～２か月効果が楽しめればいいのか、本来の治療効果と持続期間を重視する治療がしたいのか、患者様自身が自身のニーズで選ぶ必要があるなと思います。

実際のヒアルロン酸注入に関しては、主に額の注入方法のレクチャーでしたが、ブロック麻酔と局所麻酔をかなりしっかり使って、18Ｇカニューレ（日本で一般的なカニューレより３段階くらい太い）で注入することで治療時間を短縮し、塞栓を予防しているということでした。

さすがにこの太さだとかなりしっかりと麻酔をできないと、患者さまは痛すぎて注入できないなと思いました。ニューラミスに特化した製剤の使い方のレクチャーだったのですが、麻酔方法は参考になりました。

韓国のボツリヌストキシン（ボトックス）事情について

ボツリヌストキシン治療は、韓国での治療費が過剰に下がっていることもあり、相当薄く希釈することによって、正確に筋肉内の注入をしなくてもトラブルにならないような注入法を行っているようでした。

その分、一気に顔全体の筋肉に広く治療できるというメリットが出ることは、ある意味では興味深い治療法だと思いました。希釈をかなり薄くなるようにしているので、当然効果の持続期間が短くなります。
しかし、患者様が効果不十分に感じたり、すぐに切れたと思うなら、安い治療価格に設定しているのでまた同じ価格で注入して追加すればいい、と講演中におっしゃっていたのが一番印象的でした。

価格が高くてもそれ以上の価値を提供していく当院の方向性とは全く違いますが、これも一つのスタイルなのでしょう。価値観の良し悪しをここで論じるつもりはなく、日本とは大きく違う位置づけの治療にボツリヌストキシン治療が発展しているんだなと素直に実感しました。

価格と効果のバランスを考えた上で頻繁に注入する治療となると、当院で採用しているコアトックスのニーズが高いのだろうなと思います。

コアトックスはボツリヌストキシンに対しての抗体産生の原因となる余計なたんぱく質の構造部分を除去し、なおかつ動物性の添加物不使用にすることによりアレルギーや未知の感染症予防を目指す薬剤です。
通常ボツリヌストキシンは3～6か月に1度の注入サイクルの薬剤ですが、1か月ごとに注入するならば上記２点が予防できる製剤は必要だろうと思いました。

当院では文献に即したエビデンスが確立された治療をベースに治療してきました。
しかし、せっかくコアトックスを採用しているし、一度に顔全体の表情筋の強弱を整えてしまう、多部位同時注入の方法も試してみたいなと思いました。
広範囲、短期間サイクルでのボツリヌストキシン治療は、コアトックス以外では行いたくない治療です。

2日目に続きます。

上野美律