BLOGクリニックブログ

第42回美容皮膚科学会 全体の所感

銀座たるみクリニック院長の上野美律です。
2024年8月30日、31日に名古屋で開催されました、第42回美容皮膚科学会に参加してきました。
前回の記事は、講演のご報告となりましたので、お次は、学会全体の所感をまとめました。

ざっとブースに立ち寄らせていただき、講演プログラムも見ると、今年は医療機器の目立った進歩や新製品はなかったように思います。キュアジェットが唯一、今年日本にも参入してきて今まで他社製品が広く普及していなかった分、目立っていたように感じました。

キュアジェットは、機器単体でサブシジョン効果が出るため、治療で使用する薬剤に関わらず、機器として傷跡に対して大きな効果を出せます。そのため、日本導入初年度の今年は、メーカーも当然ニキビ跡をトピックスにしていました。

当院は、患者様の平均年齢が40代を超えているため、ニキビ跡だけでなく、リジュビネーション治療に使用することも多いので、また違った視点で勉強することができました。

韓国からご発表のDr.Rho Nark-Kyong先生の内容が、キュアジェットの全般的な治療法に関してベーシックな内容となっており、薬剤の希釈、機器の正しい使い方などとてもわかりやすかったです。

先生のご発表で示されていた方法と、私が現在行っている薬剤の使用法、麻酔の考え方、ショット数など、同様の方向性であることが確認できたので、現状の私の治療は正しい方向性を持っていることが確認できました。

野田真史先生のご講演は、ニキビ跡、瘢痕治療に特化したご内容でこれもとても参考になりました。
CO2フラクショナルレーザーが世に出る前に、多数行っていたTCAピールや、ニードルサブシジョンなどやはり古典的な治療も併用していくことでよりよい結果が出ると改めて勉強になりました。

いい機器だからといって、「これさえやれば、今までの治療よりものすごく良くなる」ということは、どんな治療でもありえないのですよね。
CO2フラクショナル、POTENZAの出現の時も、大きな治療の進歩がありましたが、それ単体での治療よりも、適材適所にいろいろなテクニックを、適切に使える医師としての技術がないと、安全で良好な治療はできないと、改めて確認できたご発表でした。

結局、私は ‘Injcection Guy’ (注入治療メインの人間)なので、メソセラピーにしても、キュアジェットもいい機械なんだけど、手打ちメソだっていいんだぞ、と思ってしまうので、機械ではできない治療にこだわって今後も鍛錬していくと思います。
その流れで、今年の企業セミナーとブース展示品には、機器の目立った変化がない分、注入材自体のトレンドが変わってきていると思いました。

当院でも扱っているプロファイロをはじめとして、ヒアルロン酸自体のもつ生理活性を利用しつつ、ヒアルロン酸に他の薬剤成分を添加した注入材がいくつか日本に入ってきているようです。
ペプチドを添加したものが数種類展示されていました。架橋されたヒアルロン酸も、非架橋ヒアルロン酸と混合されることで、硬さや注入圧がコントロールされています。そこにぺプチドも混合することで、要するにメソセラピー効果も兼ねるということになります。

注入部位周辺に、ペプチドも吸収されていきますから、その際に注入部位の皮膚や皮下組織に作用して、組織自体の回復を期待する製品ということになります。
皮内に入れば、皮膚が改善するし、皮下組織に入れた場合は、皮下組織に働くことに理論的にはなります。

プロファイロのシリーズは、ヒアルロン酸の生理活性のみでそういった薬効のような組織再生効果も出るように調整されているのですが、とことんヒアルロン酸のみでただボリュームを調整するだけでなく、組織再生も狙っていくのか、ヒアルロン酸注入を、ドラッグデリバリーの手段とするのか、発想の違いだけで、ヒアルロン酸製材は、とうとうボリューム調整だけでなくて、皮下組織までの再生のための「薬剤」としての効果も期待される治療になったものだなぁ、としみじみ実感しました。

こういった、次世代ヒアルロン酸製材は、ヨーロッパでどんどん生まれてきているようですが、今後数年で、おそらく韓国企業が同様のコンセプトをなぞって製剤化してくるのではないかと思います。

9月には第47回美容外科学会総会があり、私もプロファイロの新製品に関してと、メソセラピー製剤に関して登壇予定です。そういう世界的なトレンドに合った流れでお話しできそうなので、またしっかり準備していきます。

写真は、当院のマーケティングをサポートしてくださっているKCC PARTNERSの城戸崎祐馬氏の講演様子です。彼も2日目のシンポジウム講演にて医療マーケティングの発表拝命を受けていました。銀座たるみクリニックのチームで、医療と経営について登壇させていただけて、しみじみありがたく思います。

常に「医療という、極めて高い倫理観が求められるものに、どこまでマーケティングは必要なのか?」という議論をチーム内で行っています。 患者満足度を向上させるためや、信頼を普及させるという意味で、医療ももはやマーケティングの要素は不可欠な時代にはいっているとしみじみ実感します。従業員はゼロのクリニックですが、院外の方々にその分サポートしていただき、今があります。

今回も勉強になりました。ありがとうございました。

銀座たるみクリニック 院長
上野美律

上野 美律
銀座たるみクリニック院長。

銀座たるみクリニック
URL : https://tarumiclinic.com/
instagram : https://www.instagram.com/g.tarumi/
電話受付 : 03-6264-1850
平日 10:00~18:00 土曜日 10:00~15:00
(休診日も上記日程はお電話つながります^^)

ブログカテゴリー

©銀座たるみクリニック(美容皮膚科) ALL RIGHT RESERVED.