第47回美容外科学会総会 2日目のご報告
銀座たるみクリニック院長の上野美律です。
第47回美容外科学会2日目の所感をレポートさせていただきます。
2日目の全体所感
1日目に続き、2日目も多くの先生方が参加されており、会場も混雑していました。
2日目は、サイトン社のランチョンセミナーの聴講が一番の目的で、無事座席も確保できました。
当院は敷地面積的に美容医療機器を多く設置することが難しいため、徹底的に吟味して本当に必要だと思った機器を取り入れるようにしています。
そのため、すぐに機器を導入する予定はなくても、毎年セミナー聴講を継続することで、ぜひ自分で治療したいと思った機器のみ採用するという方針をとっています。
サイトン社はIPL(フォトフェイシャル、光治療)の機器である、BBLが一番メジャーな機器メーカーです。おそらく、レーザーに近しい切れ味を持つIPLの中でも、フレキシブルに設定が変更できるため、ぎりぎりを攻めた治療を行いたい先生方に認められている機器です。(要するに、シミをしっかり反応させる治療をしたい場合に向いている機器であるということ)
そういう、いわゆる「キレがいい」機器も既存ではいくつかありますが、細かい設定・微調整できないものもあります。
そのため、自分がどのように機器を使いこなすのかによって、治療者ごとに適切な機器は変わってきます。
このBBLは、大変高額でもあるため、医師が照射するクリニックのほうが、機器のスペックを使いこなせていいと思います。
私もいつかほしいなぁと10年ほど前からあこがれている機器ではあるので、勉強させていただきました。いつか機器を入れ替えるタイミングがくれば、検討しようと思います。
現在当院で採用されているM22も、出力の微調整がしやすく、私が研修医のころから継続して使ってきたメーカーでもあるため大変使いやすく、採用しています。
この機器も、IPLといえばルミナス社、といえるようなベーシックで良い機器です。シミだけに特化するIPLではなく、血管病変(あかみ)の研究からスタートしていることもなり、オールラウンダーの旗手となっています。
当院のように、レーザー機器を扱っていないが、色素病変の治療がしたい、という環境には良い働きをしてくれています。
余談ですが、ランチョンセミナーで、ポケトーク カンファレンスが採用されており、同時通訳者無しで行われていました。初めて使ってみたのですが、医学用語もたくさん含まれている英文なのに、かなり精度もよく、ほぼ同時通訳(若干のタイムラグあり)で、驚きました!
医学関係の腕のいい通訳者さんは貴重な存在で、なかなか見つけられない事が多いので、画期的だなと思います。
第6回メソセラピー研究会での発表
夕刻には美容外科学会(JSAPS)後援のもと、メソセラピー研究会が開催され、私はメディトックス社のメソセラピー製剤である、ニューラダームについて講演いたしました。
今回のメソセラピー研究会のテーマは、エクソソームです。安全使用に関する注意喚起が厚生労働省からも発令されている中でしたので、いつも以上に慎重かつ緊張感がある演題ばかりでした。
エクソソーム製剤と、自家幹細胞培養液が混同されている事によって、再生医療全部が危険である、と一般的に思われているのは非常に残念なことです。幹細胞、エクソソーム、培養液は厳密にいうと、すべて異なる物になります。
自家由来(ヒト由来)なのか、自己由来(自分の組織を培養して作成する製剤)なのか、薬剤のように管理された中製造されているものなのか、他科(動物由来)なのか、植物由来なのか…すべての要素によって、リスクも安全性も効果も異なるということが今回よく理解できました。
私が講演させていただいた、エクソソーム製剤である「ニューラダーム」は植物由来となります。また、ニューラダームにはエクソソームのほかの共通成分として、ペプチドも有効成分として配合されています。
それは、ボツリヌストキシンを様々な薬剤形態で開発してきたメディトックスだけに、ボツリヌストキシンの持つしわ改善作用を応用した特許成分です。
実際に数名のモニター様にご協力いただきました。2週間~3週間おきに3回治療をして経過観察させていただいたのですが、みなさま肌のツヤの改善、肌トーンがあがり、毛穴などきめも改善し、安定した結果が出ておりました。
ピコレーザーがない当院ですが、ピコトーニングに匹敵する効果が出ていると思われるため、当院にとっては、有用な治療の1つになると思われます。 長年、生物製剤であるボツリヌストキシンに精通して、安全に製造し続けている企業ならではの製剤だと感じました。
この30年ほどは、レーザー機器が美容医療を牽引してきましたが、物理学の進歩が一段落して、ピコレーザー以後、大きな変化を起こすほどの新しいテクノロジーが出てきてない現状です。
そんな中、ホルモン剤や、がん治療などの長期的薬剤投与が必要な治療領域で、患者様の投薬の方法の研究も含めた薬理学の進化が大きく進歩してきました。そのため、経皮吸収に関しても、やっと美容皮膚科での治療で満足できるような結果が出せる薬剤が出てきていると感じます。
エクソソームを始めて、再生医療に関しては、日進月歩で進化しているため、継続的な情報取集、安全で信頼できる企業の製品のみを扱うことが必須と再度認識できました。
メソセラピーは、レーザーほど皮膚に強い炎症を起こさずに均一な治療が行える、数少ない治療です。皮膚の余計な炎症を起こさないため、肝斑や色素沈着の治療の際に、悪化のリスクを最小限にできると感じています。
そして、選択する薬剤を適切に選ぶことで、たるみ、毛穴、肌色など肌の症状を広くカバーできるため、応用範囲が広い治療です。また、注入の深さや範囲の調整も注射手技のため、シンプルで行いやすいということもメリットです。
注射治療をメインに行ってきた私から見ると、メソセラピーは本当にまだまだ可能性が広がると確信していますし、ますます興味が広がりました。
長くなったので、本日はこれまで。
また別の機会に、外用治療(治療として使用するホームケア製品)に関しても書いていきたいなと思っています。
上野 美律
銀座たるみクリニック院長。
銀座たるみクリニック
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